ビスの芸術散歩

心に残ったドラマ、映画、劇などを綴ります。

アデル、ブルーは熱い色

& premiumの映画特集雑誌を購入した。

 

そこに、観たいと思っていた映画が散りばめまれていたが、

その一つに『アデル、ブルーは熱い色』があった。

 

Netflixのチェックリストに永遠と眠っている作品。

 

ロスアンゼルスから帰国した次の日に、自宅にて鑑賞を始めると、

以前途中まで観たことがあることを思い出した。

 

おそらく、飛行機かどこかで観たのだが、過激なシーンを家族に観られるとまずいと思い、

途中で鑑賞を中断したように思う。

 

この作品は、日常が切り取られていて、

「映画」感や俳優たちの「演技」感が全くない。

 

私と同じように呼吸して生きている人々の人生の一部を切り取ったような映画だった。

 

私はリアリティーのある映画が好みなので、非常に好きな作風だった。

 

日常を切り取ったように見えるのは、

俳優たちの飾りのないナチュラルな演技はもちろん、

食事シーンで口元を大きくカットしたり、セックスシーンにて人の姿をありのままに撮影しているところ、肌を質感まで細かく写すなどの撮影方法、

また主人公のスタイルや格好、メイク、ヘアメイクなどが飾り気のない点にあると感じた。

 

太陽の光をバックにあるキスシーンや、公園にて寝そべるシーンなどの映像として魅せる場面と、

食事など日常的な部分を描く場面にて切り替えがされていて、自然と入り込むことができた。

 

フランス映画の醍醐味は、この日常的な場面と映画的な場面が共存している点だと思う。

改めて、自身がフランス映画を好きな理由を感じた映画であった。

 

 

そして、生きる

有村架純が出ているwowow作品には外れがない。

 

『そして、生きる』もその一つだ。

 

東日本大震災へのボランティアをきっかけに出会う大学生の男女、

そこから始まる恋。友情。

 

話は大学卒業後まで進み、壮大なエンドロールの音楽が重なるにつれ、さらに絡み合う。

 

正直、有村架純演じるヒロインの妊娠、流産、

さらに結婚相手の逮捕、子供を育てながら夫を待つという怒涛の展開にはかなり驚いてしまった。

 

そちらの方向へ話が向かうのね、、と驚いている間にどんどん進んでゆく。

物語のはじめはあんなに穏やかだったのに、、、

 

そんなところもどこか『いつかこの恋を思い出したらきっと泣いてしまう』に似ている。

物語の雰囲気、有村架純演じるヒロインの芯がありつつ、自己犠牲を払う性格等、

かなり似ている部分が多かったように思う。

 

ストーリーとしても、私は『いつかこの恋を思い出しらきっと泣いてしまう』に引っ張られ、

有村架純と坂口健太郎が、最後には結ばれはしないかと淡い期待をしてしまったが、

本作は恋を超えた友情へと話は落ち着いた。

 

今回、岡山天音演じる有村架純の夫の役柄にかなり惹かれた。

地元にいる”いいやつ”であり、そういった役柄に私はめっぽう弱い。

 

『コントが始まる』でも、地元の”いいやつ”である仲野太賀に惹かれた。

 

そういえば、『コントが始まる』と『大豆田とわ子と3人の元夫』の感想をまだ書けていない。もう放送から1年が経ってしまった。なんと月日はあっという間なのだろう。

勿体ぶらずにさっさと書き起こそうと思う。

 

 

A子さんの恋人

大学4年生の後半、学部で一番仲の良い友人に薦められた漫画があった。

薦められたというか、友人がその漫画の主人公と同じような状況に陥っており、話題に上ったのだ。

 

興味を持った私は、その漫画を読むことにした。

タイトルは、「A子さんの恋人」。

 

最初は、

冴えない地味な30歳目前の女子が、結婚相手に2人で迷っているストーリーだと思ったが、

そんな簡素なストーリーではなかった。

 

プロを目指す集団の中で、プロになれた者、なれなかった者。

しかし、プロになった者が勝者で、プロになれなかった者が敗者なのではない。

プロになれた者が抱える苦しみもあれば、

プロになれなかった者が掴んだ別の幸せもあるのだ。

 

自分を好きになれない故に、

自分にないものを持つ人を好きになるが、

いつの間にか相手のようになりたいと自分が相手に似るように変化していき、

自分が自分で無くなる苦しさを持つ両思いのカップル。

 

こういった言葉に表すのが難しい現実を、

主人公K子が描く抽象的な漫画で表していて、よく伝わってくる漫画だった。

 

作品作りに携わりたいが、

私はそれでお金を生むほどの才能を持っているのか?

作品を産む苦しさを一生背負う覚悟はできているのか?

そういった苦しみを引き受けず、享受者に回った方が、幸せな人生を送れるのではないか?

 

就職活動の時、テレビ局で何をしたいのか、何を作る覚悟ができているのか、

結局結論が出なかった私には、登場人物たちの感情によく共感できた。

 

私は、プロになることも、ならないことも、

自信の無さから選択することさえできなかったのだ。

 

私は、今作品作りとは全く関係のない仕事に従事しているが、

自分の人生で多くの作品に触れること、作品を生むことを行い続けたいと思う。

お金にならなくても、作品作りの一つの工程にいつかは携わりたい。

 

この作品を読んで、自分の人生で行いことも少しは明確になった気がする。

ありがとう、英子さん、永太郎。

ボーイフレンド

3年ほど前から見たいと思っていた韓国ドラマがNetflixで配信開始され、早速視聴を始めた。

 

その作品は、「ボーイフレンド」だ。

 

ホテルを経営する女社長が新ホテル開業を手がけるためにパナマへ出張へ行くと、

そこで韓国人の少年と出会い、

帰国後、その少年はホテル新入社員として再び女社長と出会うこととなる・・・

 

ざっとこんなあらすじだ。

 

このドラマのシナリオは正直、よくある手のものだ。

 

元夫の財閥による介入の手、

相手を思いやりすぎる故にすれ違う恋愛ストーリー、

主役とは別のカップルサイドストーリー。

 

しかし、ゆっくりと丁寧に進む、温かな雰囲気。

二人の間で大切に育まれる愛。

スピード感と音楽、演出が疲れた心を癒してくれる。

 

話の内容というより、

ドラマの雰囲気がとても印象的だった。

 

ゆったりとした時間を過ごしたい方には、

オススメの恋愛ドラマです。

HiHi Jets Summer Paradise

随分久しぶりの更新となっていましました。

 

仕事に忙殺されて、エンタメによる感動があっても書き起こす気になかなかならなかったのです。

今三つ、文字にして表現したい感動経験があります。

その中の一つを今からお話したいと思います。

 

この前、ジャニーズjr.HiHi Jets のSummer Paradiseに行ってきました。

 

まぁ、コンサートですね。

 

予想以上のクオリティでした。

衝撃です。

 

まず、ジャニーズJr.というまだデビューしていない、要するにプロ手前の状態であるにも関わらず、一つのアイドルグループとして成立しているパフォーマンス。

ファンへの対応に表れている彼らのプロという自覚。

証明、演出もかなり凝っていて非常にクオリティーが高い。

しかし、まだデビューはしていないのだと改めて感じる会場の規模と距離の近さ。

 

これは、ハマる...!

 

そう感じました。

 

いやー、ジャニーズのコンサート自体が初めてだったのですが、あんなに彼らの人間味を感じるものなのですね。

 

私の場合、芸能人にはまる瞬間は大体その人の人間味を感じた時。

 

テレビでは、完璧に見えるけど、雑誌のインタビューを読んでみると実はこういう不安を抱えていたんだとか、抜けた一面があるんだなど、ふと見える人間味。

 

中村倫也さんのエッセーも、読んでさらに彼のことを好きになりました。

 

ジャニーズの方々も、アイドル、ファンの枠組みを超えて、

一人の人間として、一人一人に対応していると感じました。

英才教育がされているのか、はたまた自分で気づいて行っているのかわかりませんが。

 

彼らには大きな大きなグループへ成長していってもらいたいと感じました。

 

幸せを、感動をありがとう。

ラストフレンズ

フジテレビの連続ドラマ、ラストフレンズ。

放送当時、私は小学生だった。

ドラマの大ヒットを感じつつも、内容への深い理解が難しいため、観てはいなかった。

 

それから10年以上が経ち、ふとどんなドラマだったのだろうと気になり、先ほどを見終えた。

 

このドラマは、婚約者からの暴力に傷つくみちる、自身がレズビアンであることを誰にも打ち明けられずに苦しむルカ、姉からの性的虐待を受け恐怖症を持つタケルが、互いに支え合い、傷付き合いながらも、もがくストーリーだ。

 

今でこそ、LGBTという言葉も世にまかり通り、大手海外企業の多くがLGBTのサポートを公言するほど、世の中への認知が広がった。

 

しかし、ドラマ放送当時では、まだまだ受け入れられなかった時代だったのではないだろうか。

 

 

そんな時代に、このドラマでは家庭内暴力に加え、レズビアン、さらにセックス恐怖症など、様々な観点から人の心の奥にある傷を描き切っている。

 

人に見せたくない、だけど一人で背負うにはあまりにも重いため、誰かに打ち明けたくて、理解されたくてたまらない。

 

そんな心の叫びが感じられ、胸が締め付けられるドラマだった。

 

さらに、世間からいわゆる「特殊」と思われる彼らだけでなく、相手の不倫によって傷を受けた男性、好きな人が自分と恋人になってくれない女性など、誰にでも当てはまるような人物も登場している。

そのため、多くの人が自分ごとのように物語に入り込んでいけるドラマとなっている。

 

私はラストフレンズを観て、

「放送当時よりも、現在の方がより多くの人が共感できるのはないだろうか。」と感じた。

 

なぜなら、今でこそTwitterで自身の性や性生活、性的趣向などかなり個人的なことが多く書かれており、他人の心の傷に触れる機会が多いからだ。

 

Twitterをはじめとする匿名で書き込めるSNSが発達した今、人は知り合いには打ち明けれない心の傷を人に話し、自分の心を軽くすることができる。

さらに、受け取り側も、こんな事例があるのかと、他人に対し想像力を持てるようになる。

 

そんな体験が多くされている現代に、もう一度ラストフレンズを放送したら、より大きな成功をつかむのはないかと感じた。

 

別の言い方をすると、10年以上も前にこの脚本を書いた浅野妙子さんの着眼点は本当に素晴らしいと思った。

自身も、少し小説を書いてみようと思います。

 

放送から10年以上経った今、ラストフレンズは放送当時よりもさらに多くの人々の心に濃く、深く残り、共感を得るドラマになっていると感じた。

 

 

やんごとなき雑談(中村倫也著)

最近、と言っても二冊だけだが、著名人のエッセーにハマっている。

 

彼らがテレビで見せる姿とは違う、心の中を覗けるからだ。

人間らしい考え、感情、彼らの全てが愛おしく感じられる。

 

その中でも、中村倫也の『やんごとなき雑談』は、甘いラテのように私の心をほぐしてくれた。

 

このエッセーでは、彼のほのぼのとした生活や考えから、彼の少しダークな部分まで惜しげ無く、たっぷりと心の中を覗き込める。

 

読みながらクスクスと思わず笑ってしまうほど、彼のチャーミングな魅力が文章からにじみ出ている。もちろん裏表紙や中表紙にも。

 

こんな風に、日常の中から小さな笑いや幸福を人に与えられる人っていいな〜と感じた。いわゆる「遊び心のある人間」だ。

私はそんな人間に該当しない。

 

しかし、このエッセーを読む中で、どうやら彼は努力で言葉を紡いでいることを知った。

さらに、相手が欲しがっていそうな言葉を発しては、相手に好かれたいと願う自意識に対して疲弊するときもあるそうだ。

この本を読むまで想像もつかなかった。

 

自分とは真逆のタイプだ。

 

私は、いつでも自分の思ったことを正直にいうので、相手の要望に合わせて発言をすることはほぼない。

また、日常をよく観察するタイプではないので、いつも大枠でバッサリと切り取っている。小さな変化などにそもそも気づかないのだ。

 

遊び心があるタイプと、ないタイプで、人間は分けられると思っていたが、

もしかしてみんな努力で遊び心を手に言いれているのかもしれない。

驚きだ。

 

 自分も、彼のように提供する側に立ってみたいな、と感じた。

まずは、多くのものに触れて、自分の感性を磨いていこう。

 

中村倫也の甘〜い声、感性で癒されたい人は、ぜひ読んでいただきたい。