ビスの芸術散歩

心に残ったドラマ、映画、劇などを綴ります。

『花束みたいな恋をした』

この前、坂元裕二脚本の映画『花束みたいな恋をした』を観てきた。

 

私の好きな作品を調べてみると、坂元裕二脚本のものが多い。

 

いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』、『東京ラブストーリー』、『カルテット』...

 

去年の11月頃からYouTubeのおすすめ動画として、『花束みたいな恋をした』の予告映像を目にしていた。

その時から、絶対に劇場で観ようと決めていた。

 

 

私は、この作品をいたく気に入ったが、その大きな理由は、そこらへんの普通のカップルの話だからだと思う。

 

少女漫画によくあるような稀な設定ではなく、

新宿駅や下北沢で既にすれ違ったことのあるような、そこらへんのカップルの話なのだ。

 

普通のカップルの話を深く掘り下げているから、感情移入ができるし、自分の身に起こる話として身近に、そして真剣に話に入り込んでいけるのだ。

 

そして、もう一つの好きな理由は、エンディングがスッキリしている点だ。

 

このカップルは別れを選択するが、その別れは二人にとって「前進」になっていて、前向きに描かれている。

別れをこれほどスッキリと描いた作品は少ないのではないだろうか。

 

多くの恋愛映画や漫画では、出会いはピンク色、別れは灰色のイメージで描かれている。

 

しかし、この作品では、別れは清涼感のある明るい青色なのだ。

 

そして、現実でも別れは清涼感のある明るい青色だと思う。

 

皆、別れたくて別れるのだ。

自分の望みを叶えたくて別れている。

ポジティブなはずだ。

 

それを改めて思い知らされた作品であった。

 

 

 

『花束みたいな恋をした』でのカップルは、5年間付き合った挙句、別れる。

これが話の大筋であるが、もっともっと細かく描写されていて、妙にリアリティが所々にある。

 

例えば、一緒にパンケーキを食べているが、実はエッチをした後なんだよなと自分一人でなんだかニヤニヤしてしまったり、二人が別れた後の方が仲が良かったり。

 

そういった細かな描写も、惹かれる理由の一つだった。